東京安全鴉

サーカス

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 雨が降ると、びちゃびちゃびちゃびちゃ周りから聞こえて、確かにそれは美しいけど、同時に不快でもあるのだよね。

 歩行する度にびちゃびちゃ、といい、思うにこのびちゃびちゃ、という音が脳に伝わることで僕は吐きそうになり、頭がおかしくなるのです。いや、頭ならもうとっくの昔からおかしいんですけどね。ははって、ちゃんと聞いてください。僕が話してるんですよ。困るなぁ、そういうの、まぁ、いいです、続けましょう。そうやって吐きそうなまま、歩くと、今度はてくてくという歩行音が追加されます。

 てくてく、と、びちゃびちゃが合わさって、僕の頭のなかでは、もう、どろんどろんに溶けて、何が何かわからなくなってきます。そうだ、こういう時こそ歌うんだ、僕、歌は好きです。ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷ、ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷ、と歌いながら歩いていると、僕の歌はまた、てくてく、とびちゃびちゃに覆われて、どんどんおかしくなるのです。  

 ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷ、べっちょりべっちょりびちょんびちょん、どべちゃどべちゃどろろどろろん、ぎっちょんぎっちょんぐっちゃぐちゃ、もう、僕の頭では既に嘔吐しています。嘔吐が脳を覆うのです。胃液で脳が溶けて、目玉から脳が、ゲロがでてきて、そうして出てきた概念上のゲロは僕の視界を覆い尽くす。

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